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2010 年度 実績報告書

有機超分子キラルホストの開発と光学分割への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22750119
研究機関埼玉大学

研究代表者

小玉 康一  埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90509712)

キーワード光学分割 / 不斉認識 / 包接結晶 / 結晶工学 / 超分子化学 / アミノ酸 / 酒石酸
研究概要

キラル化合物は、医薬品などの合成中間体として需要が高まっているが、従来の光学分割法によってキラル化合物を得る場合、どのキラルホスト分子が最適であるかは試行錯誤的な選択に頼らざるをえない。キラルホスト分子の化学合成の必要性を除くために、二種の化合物で形成される超分子キラルホストを用いると、その組み合わせによって容易にキラルホストの性能の改変が可能である。本研究では安価な不斉源である酒石酸および天然アミノ酸に着目し、これらの誘導体を用いた超分子キラルホストを開発し、中性化合物の光学分割を行うことを目的としている。本年度は実施計画に従い、N-ベンゾイル-L-アスパラギン酸(1a)およびL-ジベンゾイル酒石酸(2)をキラルジカルボン酸として用い、これらとアキラルジアミンとの共結晶によるアルコールの包接および光学分割を試みた。1aを用いた場合には1-フェニルエタノール(3)の包接を行うことはできなかったが、置換基の検討の結果、芳香環を拡張したN-(2-ナフトイル)-L-アスパラギン酸(1b)を用いることによって3の包接に成功し、88%eeという高純度で3の光学分割に成功した。またX線構造解析によって、効率的な3の包接には2つの水素結合が寄与していることがわかった。一方、2を用いた場合にも芳香族アルコール3の包接は確認されたが、収率、純度の両方で高い値を示す系は見いだせなかった。そこで、より小さなアルコールである2-ブタノール(4a)を対象化合物としたところ、4aが効率的に包接され、75%eeという純度での光学分割に成功した。さらに2-ペンタノール(4b)も79%eeという高い純度で得ることができた。得られた包接結晶のX線構造解析によって、水分子を伴った三次元水素結合ネットワーク構造が形成されていることがわかった。これが、一般に光学分割が困難である4の分割を可能にしたと考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Solvent-induced chirality control in the enantioseparation of 1-phenylethylamine via diastereomeric salt formation2011

    • 著者名/発表者名
      小玉康一, 木村友理亜, 設楽浩明, 安武幹雄, 櫻井ルミ子, 廣瀬卓司
    • 雑誌名

      Chirality

      巻: Vol.23 ページ: 326-332

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 溶媒による立体制御を利用したジアステレオマー塩法による光学分割法の開発2010

    • 著者名/発表者名
      小玉康一
    • 雑誌名

      埼玉大学科学分析支援センター紀要(CACS FORUM)

      巻: 1巻 ページ: 29-32

  • [学会発表] Development of multi-component chiral inclusion crystals derived from natural chiral compounds and their application to enantioseparation of racemates2010

    • 著者名/発表者名
      小玉康一, 菅野綾香, 関根恵理子, 廣瀬卓司
    • 学会等名
      PACIFICHEM 2010
    • 発表場所
      ハワイコンベンションセンター(アメリカ)
    • 年月日
      2010-12-17
  • [学会発表] Enantioselective inclusion of chiral alcohols with binary chiral host systems2010

    • 著者名/発表者名
      小玉康一, 菅野綾香, 関根恵理子, 廣瀬卓司
    • 学会等名
      22nd International Symposium on Chirality
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      2010-07-14
  • [備考]

    • URL

      http://www.apc.saitama-u.ac.jp/ykogyo

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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