研究課題/領域番号 |
22750135
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宇田 亮子 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90321463)
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キーワード | 逆ミセル / 光応答 / マラカイトグリーン |
研究概要 |
光による逆ミセルの破壊を実現し、生体高分子を内蔵した逆ミセルの分離抽出システムへの展開を目指した。マラカイトグリーン誘導体は光でカチオン性界面活性剤に変化する光応答性分子であり、アニオン性界面活性剤から成る逆ミセルと共存させると、光照射により静電的な相互作用が生じ、逆ミセルを破壊させることができる。逆ミセル形成には、アニオン性界面活性剤のビス(2-エチルヘキシル)スルポコハク酸ナトリウム(AOT)をクロロホルムに溶解させ、タンパク質を含む水溶液と撹拌することによりサンプルとした。これまでの研究成果から、AOT逆ミセルに内包されたリボヌクレアーゼの光による放出が可能となっているため、当該年度ではシトクロムcの放出を検討した。AOT濃度を1mMとしたところ、シトクロムcがクロロホルム相に移動し、逆ミセルに内蔵されたことが分かった。また、有機相と水相の相分離を促進させるためには、水相のイオン強度を0.1Mとするとよいことが明らかとなった。この条件で得られたシトクロムc内臓AOT逆ミセルにマラカイトグリーン誘導体を添加し、光照射を行った。光未照射時ではシトクロムcは逆ミセルに内蔵されたままであったが、光照射後は液-液界面に沈殿物が現れてしまい放出されなかった。水相のpHは7であったため、マラカイトグリーンカチオンとシトクロムcが電荷的な相互作用をしたのではなく、マラカイトグリーン誘導体の持つ疎水鎖部が影響し、シトクロムcの沈殿を促進させたのではないかと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リボヌクレアーゼの逆ミセルによる抽出や光による放出を実現し、また放出されたリボヌクレアーゼの高次構造や酵素活性が確認されているため、研究は順調に進展していると考えられる。しかし、その他のバイオマテリアルとしてシトクロムcを用いたところ、逆ミセルへの抽出に適した条件を得ることは出来たが、光による放出を行うことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでタンパク質を逆ミセルに抽出させ、そのタンパク質の光による放出を検討したが、液-液界面での沈殿物などが現れた。これは、光照射によるダメージや水溶液のpHなどによる影響ではなく、イオン化したマラカイトグリーンの疎水鎖との相互作用に由来すると考えられる。逆ミセルにはマラカイトグリーンの疎水鎖は不可欠であるため、対象となるバイオマテリアルには制限があることが分かった。そのため、今後はDNAなどの核酸を対象とした検討を行い、逆ミセルへの抽出や光による放出、高次構造の評価などを行ってゆく。
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