研究概要 |
近年、社会要請が高まるグリーンケミストリーおよびアトムエコノミーの観点から地球資源の有効活用および環境調和の案件を満たす次世代環境調和型遷移金属触媒反応システムの確立が急務とされている。本研究課題では、上記案件を共に満たす水中有機分子変換反応を実現する高分子担持銅触媒の創製を目指し、研究を展開している。本年度において得られた成果を以下に示す。(1)3座配位子であるトリアザシクロノナン配位子を担持した両親媒性ポリスチレン-ポリエチレングリコール(PS-PEG)レジンおよびその銅錯体の合成およびそのキャラクタリゼーションを行った(2)得られたPS-PEGレジン担持トリアザシクロノナン-銅錯体を触媒とする水中における各種カップリング反応(アリルボロン酸とイミダゾール類およびアリルハライドとアンモニアなどのカップリング)を実施した。その結果として、空気存在下、担持トリアザシクロノナン銅(II)錯体はパラメチルフェニルボロン酸とイミダゾールの反応を効率良く触媒し、75%の収率でそのカップリング生成物を与えた。(3)銅触媒による水中不斉分子変換反応の実現を目指し、一連のアミノ酸由来の置換基を導入した不斉トリアザシクロノナン配位子の合成を行った。得られた配位子を用いて調製した銅錯体を用いた種々の不斉分子変換反応(不斉シクロプロパン化,不斉銅-カルベノイド挿入反応など)を実施し、その配位子の不斉導入能について検討・評価を行った。
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