異種の酵素を固定化する基盤として、9つのDNAウェルを一直線に組み込んだDNA Origamiナノ構造体(DNAナノスティック)に加え、DNAウェルを3x3に配置した新しいナノ構造体(DNAワッフル)を設計し、その形成をAFMで確認した。この構造体には、加えるDNAの種類を適宜洗濯することで、DNAウェルの大きさをヘリックス4ターン分(14nm)から2ターン分(7nm)までおのおの調節できるという特長を新たに付与した。これにより、大きさの違うタンパクを効果的に固定化することを目的とした。大きさを種々変えたDNAウェルを一分子のDNAワッフル内に同時に組み込み、タンパク固定化の収率と選択性を検討した結果、直径5nmのストレプトアビジンの固定化には、7nmのDNAウェルが最も適していることが判明した。これよりも大きいDNAウェルの場合、2分子以上のストレプトアビジンがしばしば取り込まれた。一方で、ターゲットのタンパクをIgGとした場合、DNAウェルの大きさはIgGの取り込み効率に直接的に影響し、2分子以上のタンパクが取り込まれたDNAウェルは、いずれの大きさでもほとんど観察されないことが明らかとなった。以上の成果により、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用に加え、抗原-抗体反応もDNA Origamiへのターゲット分子の固定化に利用することが可能となり、異種の酵素を一分子のDNA Origami上に固定化する基礎的手法を確立した。
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