研究課題
本研究では細胞内で内在性遺伝子の転写を促進させることのできる小分子人工転写因子の開発を目的としてレンチノロールの改良、および小分子転写活性化ドメインの組み合わせによる転写促進活性の増強を試みた。はじめに、転写促進活性と細胞膜透過性を改善した化合物の開発を目的として新たに6種類のレンチノロール類縁体の合成を試みた。具体的には、分子サイズの縮小と細胞内標的分子への選択性の増加を指向して、主にレンチノロールの分子内にあるアダマンタン基をより小さいアルキル基に置換した化合物を合成した。これらの化合物の細胞膜透過性を評価するために細胞毒性を測定した。その結果、アダマンタン基をトシル基に置換した類縁体にレンチノロールと匹敵するぐらいの高い細胞毒性を有することがわかった。さら、細胞内標的分子であるSur2への結合を評価するために、この類縁体とビオチンの結合化合物を合成した。現在、申請者らが以前に確立した細胞内の転写活性化試験を用いて、この結合化合物の転写活性化能を検討中である。レンチノロールと他グループが開発した転写活性化化合物を組み合わせることにより転写促進活性が増強されるかどうかを調べることを目的としてMappらが報告したイソキサゾリジン骨格を有する化合物(Buhrlage et al. 2009. ACS Chem.Biol.)を論文に従い合成した。現在、この化合物と上記のレンチノロール類縁体の相加効果が見られるかを検討するためのアッセイ系の最適化に取り組んでいる。
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ACS Chemical Biology
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Angew.Chem.Int.Ed.
The Journal of Biomolecular Screening