研究課題
本研究では細胞内で内在性遺伝子の転写を促進させることのできる小分子人工転写因子の開発を目的としてレンチノロールの改良、および小分子転写活性化ドメインの組み合わせによる転写促進活性の増強を試みた。前年度までに、転写促進活性と細胞膜透過性を改善した化合物の開発を目的として新たに6種類のレンチノロール類縁体の合成を完了した。さらに、これらの化合物の細胞膜透過性を評価するために細胞毒性を測定し、アダマンタン基をトシル基に置換した類縁体にレンチノロールと匹敵する細胞毒性を見出した。本年度は、細胞内標的分子であるSur2への結合を評価するために、この類縁体とビオチンの結合化合物を合成した。さらに、申請者らが以前に確立した細胞内の転写活性化試験を用いて、この結合化合物の転写活性化能を検討中した。しかしながら、本研究で見出した類縁体は細胞内で転写を活性化することは無かった。また、前年度までに合成を完了しているイソキサゾリジン骨格を有する化合物の細胞内の転写の活性化能を調べた。残念なことに、このすでに論文に転写活性化能が報告されている化合物においても、報告どおりの転写活性化能を見出すことができなかった。これらの事実から、申請者の行っている実験条件に問題があるのでないか?と考え、このアッセイ系が本当に機能しているかどうか確かめた。具体的にはポジティブコントロールとして転写因子を発現するプラスミドを用いてアッセイを行った。このプラスミドはきちんとした結果を与えたことから、アッセイ系には問題が無いことがわかった。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Medicinal Chemistry
巻: 54 ページ: 4923-4927
10.1021/jm200304y