研究課題/領域番号 |
22750159
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
桑原 俊介 東邦大学, 理学部, 講師 (40359550)
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キーワード | 分子マシン / 分子モーター / DNA / 光スイッチ |
研究概要 |
DNAは遺伝子発現を制御する重要な生体高分子である。一方、DNAはその特異な高次構造からナノマシン、ナノデバイスなどへの応用も期待されている。従って、DNAの高次構造を自由に制御することができれば、生命科学分野に留まらず材料科学分野など幅広い分野へのブレークスルーとなると考えられる。 本研究では、核酸塩基に近い構造を備え、光照射で一方向の回転をおこす「DNA結合性分子モーター」を開発する。すなわち、分子モーターをDNAの核酸塩基対間にインターカレートさせ、光照射により分子モーターを回転させる。その回転運動をDNAのらせん構造に伝え、DNAの高次構造を自在に変化、制御することを目的とした。 前年度に引き続きDNA結合性分子モーターの合成の検討を行なった。はじめに、これまでに合成した環状ケトンの二級アミンの保護基の検討を行なった。その結果、保護基としてパラメトキシベンジル基が最適であることがわかり、これまで問題となっていたケトンのα位のモノメチル化、McMurry反応が進行した。McMurry反応により二量体であるシス体、トランス体をそれぞれ得ることができた。さらにシス体、トランス体の単結晶化に成功し、それぞれの構造をX線結晶構造解析により決定することができた。今後、Buchwald-Hartwig反応を用いたシス体、トランス体のジアミノ化、脱保護を行い目的の新規分子モーターを合成する。さらに分子モーターとDNAとの結合能を調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでDNA結合性分子モーターの合成において困難な点が多数存在していたが、今年度の研究において問題点を克服することができ分子モーターを合成できる目処がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
あと2段階の反応でアミノ基を導入したDNA結合性分子モーターの合成できる予定であり、このまま分子モーターの合成を継続する。もし合成した分子モーターの水への溶解性、DNAとの結合能に問題が出てきた場合には、アミノ基の代わりにアミジノ基を導入した分子モーターを合成することを計画している。
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