研究課題
これまで我々は、有機ELなどに用いられるホール輸送材料(=ドナー性材料)と、n型有機半導体材料を積層した有機電界効果型トランジスタ(有機FET)において、n型有機FETで一般的に悪いとされる大気下の安定性を著しく改善できることを見いだしている。今年度は、昨年度から検討を開始したアクセプター性材料/p型有機半導体の積層型有機FETにおける大気下安定性を検討し、その結果を電子的効果(界面における電荷のやりとりによる効果)と薄膜構造への影響による効果に切り分けて考察した。その結果、p型FETにおいてはアクセプター層のLUMOと、時間経過時のしきい値シフト量との間に相関が見られ、LUMOが深い場合にはプラス側(ノーマリーON側)にシフトし、LUMOが浅い場合にはマイナス側(ノーマリーOFF側)にシフトすることが分かった。この特性を利用して、界面層に適度なLUMOレベル(3.5eV程度)の材料を用いることにより、しきい値シフトを抑えて大気下安定性を向上させることが可能であることが分かった。また、有機ELにおける電荷発生層の概念を有機FETに展開するために、サンドイッチデバイスにおける電荷発生層の挙動について詳細に検討した。具体的には、既に良好な電荷発生層であることが分かっているAlq3/A1/HAT-CN/NPDの積層有機薄膜を注入がブロッキングとなる電極で挟み、純粋に電荷発生に由来するキャリアの量を温度・電界依存性と共に測定した。これにより、電荷発生層によるキャリア濃度の増加が熱的励起によるものなのか電界誘起による電荷分離なのかを検証する枠組みを確立した。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Org.Electron.
巻: 12 ページ: 710-715
10.1016/j.orgel.2011.01.022
Chem.Comm.
巻: 47 ページ: 10112-10114
10.1039/c1cc13980k
巻: 47 ページ: 12447-12449
10.1039/c1cc15118e
Tetrahedron Letters
巻: 53 ページ: 1786-1789
10.1016/j.tetlet.2012.01.114
http://nk.yz.yamagata-u.ac.jp/nk/