研究課題
半導体ポリマー薄膜中におけるキャリア輸送は、主にポリマー主鎖間のπ電子軌道の重なりにより決定されるため、高移動度の達成には、ポリマーの分子間相互作用を高めて、より強固なπスタッキング構造を構築することが鍵である。(1)π電子系の広い縮合環(ヘテロアレーン)を主鎖に導入することや、(2)ドナー・アクセプター型構造の導入は、半導体ポリマーの分子間相互作用を高めることができるため、高移動度材料創出に向けて非常に有用なアプローチである。今年度は、(2)の観点からのアプローチを中心に研究を進めたが、その中で新規なアクセプターユニットであるナフトビスチアジアゾールを主鎖骨格に有するポリマーが、トランジスタ素子にて~0.56cm^2/Vsと非常に高いキャリア移動度を示すことが分かった。これは、類似の骨格であるベンゾビスチアジアゾールを有するポリマーと詳細に物性や分子構造、薄膜構造を比較したところ、ナフトビスチアジアゾールの対称性(C_<2v>)が、その優れた特性に多大な影響を及ぼしていることが示唆された。また、前年度(1)の開発したナフトジチオフェンに、ナフトビスチアジアゾールを導入したポリマーでも、同様に~0.5cm^2/Vsを超える高い移動度が得られた。一方で、これらのナフトビスチアジアゾール系ポリマーは、有機薄膜太陽電池用材料としても非常に高い特性を示すことが分かり、ナフトビスチアジアゾールが半導体ポリマーの骨格として、極めて有望であることが明らかとなった。
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