本年度は、倒立顕微鏡試料を用いた一粒子観察の手法を用いて1)結晶核生成および2)結晶成長過程の研究を課題とした。結晶化の詳細な検討においては、顕微鏡観察過程におけるコントラストの高い画像を得ることが非常に重要であるが、マイクロゲル球の利用も検討したが、大型の粒径500nm以上のコロイド粒子(従来使っていたコロイド粒子の粒径は300nm程度)を試料として使うことで解決した。一方で、大型のコロイド粒子を使ったコロイド結晶においては、イオン性不純物による融解の影響を大きく受ける問題点があったが、イオン交換樹脂共存下で観察を行うことにより観察が可能となった。得られた顕微鏡像から、粒子の動径分布関数による最近接粒子間距離の決定の後、粒子間距離が最近接粒子間距離±15%にある3粒子を結ぶことで結晶化度を視覚化することに成功した。また、動画解析ソフトを用いることにより、結晶構造における粒子の格子振動の解析が可能となった。これを用いて、結晶成長フロントおよび結晶中心部における粒子運動の比較などを行った。さらに、結晶格子内への不純物粒子の取り込みや排除の過程についても一粒子観察することに成功した。
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