研究概要 |
本研究課題を完遂する為に,当該年度においては,[1]ナノ構造を有する電極触媒層の位置選択的な形成を電析法および脱合金化法により検討し,[2]物理化学シミュレーションソフトを用いて微小な燃料電池内部での現象の解析を開始した.以下にそれぞれの具体的な要点と成果発表との関連を述べる. [1]ナノ構造を有するスポンジ状のPtを合成し,その表面へ原子層レベルのRuを付与することにより,アルコール燃料酸化触媒層の形成を報告した(発表論文1【Chem.Commun.Vol.46】).また同様の形成がPdやAuでも行えることを証明した(学会発表2件,2011年論文発表予定).このことは,リソグラフィによって形成した2次元パターンを3次元ナノ構造体へ拡張し,かつ有効な触媒反応活性を示す重要な成果である. [2]物理化学シミュレション(COMSOL Multiphysics)を用いて微小燃料電池内の反応を可視化し,性能支配因子を定量的に議論し,実験結果と比較した(発表論文2【Energ.Environ.Sci.Vol.4】).この成果は,微細加工により作製した燃料電池の性能予測の観点から重要な指針を得るものであり,本研究課題を完遂する上で引き続き検討していくべき重要な課題である.今後は構造の最適化を行う上で使用し,現象の理解を深めたい. ※当該年度の研究を開始する時期に研究機関を移ったため,多少の計画の変更をし,目的を達成する為に柔軟に検討を行った.
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