研究概要 |
本研究では、電子・光電子機能特性だけでなく、非天然型の生理活性を有するフラーレンC_<60>をブロックポリマーや櫛型ポリマーなどに代表される特異構造高分子の末端に担持させることによりフラーレンの特性と高分子部位の機能性とを組み合わせた新たな材料の創製を目指している。本年度の新たな成果として、(1)フラーレンを有する重合開始剤を用いた精密重合法における詳細な重合挙動の解析と(2)機能性ビニルエーテルモノマーを用いたフラーレンポリマーコンポジットの創製である。 まず、新規に開発したフラーレン担持重合開始剤を用いたカチオン重合において、重合挙動を詳細に解析することで、種々のビニルエーテルモノマーのリビングカチオン重合が可能であることを明らかにした。(Polym.Chem.2011,329-331)この結果、高効率にフラーレンをポリマー末端に有するフラーレンポリマーを合成することが可能となった。次に、(1)で得た知見をもとに、光反応性や生体親和性を有する機能性ビニルエーテルモノマーを用いたフラーレンポリマーコンポジットを合成した。その際、光反応性ビニルエーテルモノマーとして、可逆的な光架橋反応性として知られているクマリンを有するビニルエーテルモノマーを新たに設計し、リビングカチオン重合に適用可能であることを見出した。さらに、クマリン部位の光反応性を検討した結果、可逆的な光反応が進行し、両親媒性プロックポリマーにクマリン部位を導入することで、自己集合したポリマーの構造を光反応によって固定可能することに成功した。(JPS Part A,2011,4701-4707)
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