平成23年度は、シロキサンユニットの連結方法について詳細な検討を行った。クロロベンジル基がビニレン基を介して二重四員環(D4R)恥構造のシロキサンユニットに結合した化合物を新たな構造単位として用い、フリーデルークラフツ反応によって高度に架橋することによって、高比表面積の有機シリカ系多孔体の構築に成功した。生成物のTEM像からは粒子全体にわたってミクロ孔が分布していることが示された。窒素吸着測定により、A1C13を触媒として得られた生成物は極めて高い比表面積(2500m2g-1)と大細孔容積(3.2cm3g-1)を有する多孔体であることが確認された。NLDFT法によって求めた細孔径分布からは1.4~1.7nm程度の比較的サイズの揃った細孔の存在のほかに、3~10nm程度のブロードな細孔の存在が示された。しかしながら、反応に伴ってSi-o-Si結合の開裂が起こることから、規則的な構造形成は困難であった。一方、H修飾型のD4Rユニット(H8si8012}を用い、各種ジオールとの脱水素反応によりSi-O-C結合を有する多孔体の合成についても検討した。キシリレンジオール、プロピレンジオール、ビフェニルジオールなど様々なジオールを用いることにより比表面積は150-400m2/gの多孔体を得た。これらの多孔体は、水中に浸漬することによって連結部のSi-O-C結合が加水分解され、ジオールの脱離を経て、シリカ多孔体を与えることがわかった。一般的なシリカゲルと比べてミクロ孔容積が大きく、また高い表面積を有することが確認された。無機-有機ハイブリッドの固相変換によるシリカ多孔体の新たな合成ルートを開拓した。
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