研究概要 |
Snをベースにしたメソポーラス合金を合成し,それをリチウムイオン二次電池の負極として用いることで,以下のことが実現した.細孔の大きさと細孔壁の合金組成の精密設計により,何回充電しても,もの落ちしないリチウムイオン二次電池が実現した. (1)電極自体をナノポーラス化することにより,電解液と電極との接触面積を大幅に増加させ,電気化学反応場を向上させることで高エネルギー化.また,多孔質になった電極は,Liイオンを電極内部までスムーズに運び,高い拡散性も可能になった. (2)Liと合金化しない金属をSnと合金化した電極は,原子レベルでSnと混合した状態であるため,より有効に電極の崩壊・欠落を防ぐことができる。Sn単独系よりも,充電時の体積変化による電極の崩壊・欠落を緩和し,電極の長寿命化に寄与した.充放電時にLiイオンが電極と余計な副反応を起こさないために,Snと合金化させる金属種としては,「Liと合金化しない金属」を選ぶことが重要である. また,現在,更なる骨格組成の多様化として,金属の場合と析出手法が似ている半導体に注目している.金属が主に電気化学的分野へ用いられるのに対し,半導体は可視光を利用した光電池・光触媒などの光エレクトロニクス材料として応用できる.メソポーラス半導体は,メソ構造由来の高比表面積により特性が大幅に向上すると考えられる.
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