研究課題
本年度は、これまでに得られている架橋有機高分子多孔体を用いて作製した活性炭における細孔構造の詳細な検討や、電気化学デバイスへの応用を検討した。前年度までの研究(科研費若手(B)20750177)において、相分離を伴うリビング重合により作製したポリジビニルベンゼン骨格を有する多孔体は、不活性雰囲気下で焼成を行うことで炭化し、さらに微酸化雰囲気下で賦活処理することで高比表面積の活性炭となることが分かっている。この活性炭はモノリス状であり、整ったマクロ孔と発達したミクロ孔を有している。また、炭化条件を制御することにより、マクロ孔骨格内にメソ孔レベル(数十ナノメートル)の細孔を残すことも可能である。このようにして、電気二重層キャパシタにおける分極性電極に適する形状の活性炭試料を作製し、白金集電極に貼り付けた後三極式セルを用いてCV・充放電などの電気化学測定を行ったところ、高い比静電容量(約200F/g)と良好なサイクル特性を示した。充放電測定におけるIRドロップと、簡単な抵抗率測定から、比較的高い電気伝導度が示されたが、これはマイクロメートルスケールで3次元的な網目構造を有する活性炭に特徴的であると考えられる。通常の電極は、高い比表面積をもつ活性炭などの活物質粉末を、導電性高分子バインダーや導電助剤と混合しペレット状の電極とするが、本研究で得られたモノリス状電極はこのような操作の必要がなく、作製した活性炭をそのまま電極として使用できる。上述のような高い導電性やサイクル特性をはじめ、マクロ孔・メソ孔を有するため電解液が到達できる有効比表面積が高く、高い性能を発揮できたと考えられる。
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