研究概要 |
金属ガラスを軟磁性下地層とし、FePtを硬磁性層とするパターンド記録メディアの可能性を調査することを本研究の主目的とした。金属ガラスを下地層とする利点は、金属ガラスが優れた軟磁気特性を有すると同時に、ガラス転移温度以上の温度において過冷却液体状態になるためである。金属ガラスの過冷却液体はインプリント法が利用できるため、低コストで広範囲へのビットナノパターンを形成手法として応用できる可能性があると推測された。 さらに、記録媒体の作製には、結晶粒が配向したL10FePtを金属ガラス下地層に作製することが不可欠であるが、原子配置がランダム構造を有する金属ガラス下地にL10FePt層をエピタキシャル成長させることが本研究の最重要点であった。 今年度本研究では軟磁気金属ガラス層および、L10FePt層またはその多層膜の成長を調査することを目的とし研究を行った。また、軟磁気金属ガラス層のナノパターニングに関する研究を行った。CoFeTaB金属ガラス薄膜が軟磁気下地層として利用でき、かつ、この下地層がL10FePt相の(111)方位の優先成長を促進することを明らかにした。また、L10FePt(111)/CoFeTaB金属ガラス膜に光学または電子ビームリソグラフィを利用して25μmから100nmの範囲のパターンサイズを作製した。この結果を文献発表することができた。(Sharma et al. J. Appl. Phys., 109, 07B908(2011)、Kaushik, Sharma et al. Appl. Phys. Letts. Vol. 97, 072510(2010))
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