研究課題
市販されているシリコン(Si)太陽電池の変換効率は約20%であり、変換効率のさらなる向上が求められている。太陽電池の変換効率を高くするためには、結晶欠陥発生を抑制することが必要である。本研究は、変換効率を向上させるために、偏析係数の大きなゲルマニム(Ge)に注目し、(1)Geの添加がSi結晶中のボイド欠陥形成および光照射による結晶品質劣化に及ぼす効果を明らかにすること及び(2)ガリウム(Ga)をドープしたシリコンゲルマニウム(Si_<1-x>Ge_x)結晶の偏析現象、欠陥発生機構及び寿命に対するGe組成の効果を明らかにすることを目的とした。Ge組成が異なるGaドープSi_xGe_<1-x>結晶(x=0,0.006,0.03,0.045,0.06)を回転引き上げ法で成長させ、欠陥密度と格子間酸素濃度に対するGe組成依存性を調べた。光照射前後のウエハーの寿命特性を微小光容量減衰法と表面光電圧法により測定した。結晶をSeccoエッチャントを用いてエッチングすることで成長欠陥に対応したエッチピットを形成し、エッチピット密度を測定した。その結果、(1)Gaドープ濃度を増加させると、少数キャリア寿命が増加すること、(2)光照射減衰実験により、BドープSi結晶の劣化が急速に起こることに対して、BとGeをドープSi結晶の劣化は低濃度添加の場合抑制されること、(3)Ge組成が高い程、欠陥密度と格子間酸素濃度が減少すること等が明らかとなった。これらの現象は、Ge-空孔の複合体が不均一核形成センターとして働くことで、酸素析出物を形成し、その結果として格子間酸素濃度が減少することを示している。
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