波長250-350nm帯の深紫外高輝度LEDは、医療、殺菌・浄水、生化学産業、高演色LED照明、高密度光記録、ダイオキシンやPCB、NOxガスなど公害物質の高速分解処理、バイオ工学、各種情報センシング等の大変幅広い分野での応用が期待されている。しかし、青色LEDに比べて、紫外LEDは外部量子効率が極端に低いのが現状である。本年度は、高効率深紫外線光源実現の為、サファイア基板のオフ角の傾斜方向に注目し、AlNとAlGaN系深紫外LEDの作製を行った。試料作製は、減圧有機金属気相成長法(LP-MOCVD)を用いて行った。サファイア基板は、a軸に平行なオフ角0.15°とm軸に平行なオフ角0.15°のc面サファイア基板を用いた。まず、a軸およびm軸傾斜サファイア基板上のAlN層表面状態を光学顕微鏡とAFMを用いて観察した。結果、m軸傾斜上のものはステップバンチングが観測され、a軸傾斜上のものは平坦な表面が観測できた。次に、AlGaN系LED構造を成長した。試料は、a軸傾斜サファイア基板上にアンモニアパルス供給多段AlN成長法を用いてAlN層を作製し、その上にn型AlGaN層、AlGaN/AlGaN:Si3重量子井戸層、p型AlGaN多重量子障壁層(MQB)、p型AlGaN層、p型GaNコンタクト層と成長したものを用いた。そして、電極を形成し、試料を室温連続動作において光出力・外部量子効率・EL発光スペクトルを測定した。その結果、波長272nmで光出力6.6mWで外部量子効率3.8%を観測し、高効率化を実現した。これらの結果より、a軸に平行なオフ角をもつc面サファイア基板上の成長は、容易に平坦な膜が形成でき、高効率深紫外LED実現に有用であることを明らかにした。
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