研究概要 |
13nm高次高調波の時間コヒーレンスを100倍に改善するための多層膜回折格子製作が開発課題である.しかし,現在の放射光を利用するコヒーレントスキャトロメトリー顕微鏡(CSM)においては集光基板にてスペックルが発生しS/Nを悪くしていた.高次高調波は空間的にコヒーレントな光源のため,途中の光学素子の表面が荒れているとスペックル発生源となり性能を発揮できない.そこで国内外の光学メーカー3社の基板をCSMで測定し,ドイツ製のガラス基板がスペックルの散乱がほぼないことを確認した.このメーカーの基板にCSMの集光光学系を交換し,測定再現性を向上させた.今後は,この基板を用いて多層膜回折格子の製作を進める. CSMにおいてタイコグラフィー法による,回折画像からの試料像再生アルゴリズムを開発した.タイコグラフィーでは従来と異なり,試料に対して位置をずらして照明光を照射し,CCDカメラで記録した複数枚の回折画像に対して反復計算処理して像再生する.測定位置が制御されるため,周期的なパタンだけでなく,非周期的な構造に対しても像再生が容易となる.実際に,ライン/スペースパタンの端点形状や,アライメント用十字パタン像を再生できた.また,位相構造も測定し,形状はもとより位相量まで像として検出できた.
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