研究課題
本研究はBi高温超伝導材料の粒内臨界電流密度(:粒内J_c)を改善し、実用化を一層促進することを目的とする。そのために、申請者独自の手法である、精密組成制御技術を用いる。これにより"自己組織化2Dナノ平面ピンニングセンター"を導入しJ_c増大を試みる。また、J_c増大のメカニズムを明らかにし、更なる高J_c化を目指す。その為に、種々の分析手法を駆使して結晶構造・化学結合状態の観点から詳細に調べる。本年度はBi系超伝導材料の粒内J_c改善のため、Ca不純物の添加量を25~40%と一層増加させたBi系超伝導ウィスカーを育成した。得られたBi系超伝導ウィスカーにおいてEPMA等を用いて組成分析を行った結果、Ca不純物の過剰添加を行うとCa/Sr置換を促進できることが分かった。また、この置換によりBi系超伝導ウィスカー中に結晶構造歪が導入されていることも確認された。育成したBi系超伝導ウィスカーのJ_cを測定し、Ca/Sr置換量とJ_cの相関を調べた。その結果、Ca不純物の添加量が25%の時、J_c値が2×10^5A/cm^2と最大になることが分かった。また、Ca不純物の添加量が30%を越えると、得られるBi系超伝導ウィスカーのJ_cおよび最大結晶サイズが共に減少することが分かった。このJ_c低下が、Bi系超伝導ウィスカーのサイズ効果によるものかどうかは不明である。今後、検討していく必要がある。また、本研究で得られた知見をBi系超伝導線材作製に活用することで、高温超伝導体の実用化を一層促進できると考えている。
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Advances in Science and Technology
巻: Vol.75 ページ: 192-196
IEEE Trans.Appl.Supercond.
巻: (accepted)
Materials Science and Engineering