フッ化物ガラスファイバーを用いた高強度中赤外光パルスの発生の基礎技術の開発を目的とし、本年度はQスイッチパルス発振における短パルス化と高ピークパワー化の実験実証を行った。共振器のQ値を高速に変化させることによりジャイアントパルスを発生させ高いピーク出力を得る技術は一般的であるが、2800ナノメートル帯の中赤外ファイバーレーザーでは実証例が少ない。昨年度までに開発した音響光学素子を用いたパルス発振ファイバーレーザー発振器の高出力化を図り、900ワットの高いピーク出力と12ワット以上の高い平均出力を達成した。パルス幅は最短で90ナノ秒、パルスエネルギーは最大で100マイクロジュールである。以上の成果により、フッ化物ガラスファイバーレーザーの短パルス高強度化および高平均出力化技術が飛躍的に進展した。今後レーザー加工、外科治療などの分野へ応用が可能になると期待される。本研究成果の一部は米国光学会のOptics Letters誌に掲載された。
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