スクイーズド光とは光の量子揺らぎが圧搾(スクイーズ)された極めて雑音の少ない光であり、量子演算を実現するための光源として重要である。本研究の目的は導波路型の光パラメトリック増幅器を用いた高レベルな連続波スクイーズド光の生成技術の開発を行うことである。導波路スクイーザーの研究はスクイーズド光生成部の小型他、高帯域化のみならず、将来、光チップ型の量子演算回路を実現するための要素技術として必須である。長期的な展望としては、スクイーズド光を使った量子テレポーテーションの演算回路を、導波路素子で構成された光集積回路で実現したいと考えている。 本年度はまずポンプ光生成部を作製し、スクイーザーである導波路型の周期分極反転構造を有するLiNb03素子にポンプ光を結合させた。本年度は主にそのアライメント技術を確立し、現状のポンプ光の結合効率は約3割まで達した。今後は導波路モードの解析などを行うことにより、結合効率をさらに改善し、高レベルなスクイーズド光の生成実験を行う予定である。 導波路素子を使って量子テレポーテーションを行うためには、スクイーズド光を用いてEPRビームを生成するための技術開発も重要である。本年度は外部の光パラメトリック発振器で生成した2つのスクイーズド光を、導波路干渉計で合波させることにより、EPRビームの生成実験に初めて成功した。将来的には導波路型スクイーザーと導波路干渉計の技術を融合させることにより、量子テレポーテーションの全ての演算プロセスを導波路素子内部で実現することも可能と考えられる。
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