研究課題
本研究の目的は、数理・物理学的根拠を持った乱流の情報縮約手法の開発をウェーブレットの視点から行うことである。平成22年度の主な成果は以下のとおりである。(A)乱流の巨大自由度を縮約する手法の1つである、適合格子を用いた秩序渦度シミュレーション(CVS)手法の計算コストの見積もりを行った。適合格子CVSには、直接数値計算(DNS)には存在しないオーバヘッド(ウェーブレット変換やデータ構造に伴うデータアクセスなど)がある。適合格子CVSで用いるデータ構造として、ハッシュテーブルを用いることで、適合格子CVSの計算量がO(N)とできることがわかった(Nは適合格子の全格子点数である)。(B)CVS手法は、乱流中に間欠的に分布する秩序構造のみを抽出し、その時間発展を捉える手法である。工学的に重要な非等方性乱流へのCVSの拡張に有用な知見を得るため、一様磁場下の低磁気レイノルズ数電磁流体乱流の間欠性を直交離散ウェーブレット解析により定量化した。フーリエスペクトル法によって、格子点数512の3乗のDNSを地球シミュレータ上で行い、得られたDNSデータに対して、スケールと方向に依存したウェーブレット解析を行った。その結果、ある強さの一様磁場に対して、(1)各スケールにおいて一様磁場と垂直な方向に乱流のエネルギーが卓越すること、(2)一様磁場が、乱流場の磁場方向の間欠性の増加に重要な役割を果たしていることなどが分かった。(A)と(B)によって得られた知見は、乱流の適合格子CVSの発展に重要であると考えられる。
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Esaim Proceedings
巻: (掲載確定 未定)
Journal of Fluid Mechanics
巻: 651 ページ: 295-318
DOI:10.1017/S0022112009994137
Proceedings of the European Conference on Computational Fluid Dynamics, ECCOMAS CFD 2010
ページ: 01379(1-12)
http://kenpro.mynu.jp:8001/Profiles/0062/0006253/profile.html