研究課題
本研究の目的は、数理・物理学的根拠をもった乱流の情報縮約手法の開発をウェーブレットの視点から行うことである。ウェーブレット解析に基づく情報縮約手法として、適合格子を用いた秩序渦シミュレーション手法(CVS)を開発し、その信頼性や計算コストの評価を行う。平成23年度の主な成果は以下のとおりである。本研究では、(A)有限体積法に基づいた非圧縮性乱流に対する適合格子CVSを開発し、(B)対象として3次元非圧縮混合層乱流をとりあげ、適合格子CVSと直接数値計算(DNS)によって得られる統計量や、計算コストの比較を行った。(A)適合格子CVSとDNSともに、速度場の時間発展には部分段階法、2段2次のルンゲクッタ法を用いた。シミュレーションで解く必要のある圧力のポアソン方程式は、そのポアソン方程式に擬似時間項を付加して得られる放物型の方程式を時間積分し、その定常解を求めることで、解を得た。擬似時間の時間積分には2次精度有理ルンゲクッタ法を用いた。適合格子CVSでは、各時刻における適合格子の生成に双直交離散ウェーブレット変換を用いた。(B)適合格子CVSは、DNSによって得られた乱流エネルギーの時間発展をよく再現した。また、CVSでは強い渦構造の周囲に、適合格子が集中している様子を確認できた。自由度については、適合格子CVSはDNSの30~40%程度、メモリについては、適合格子CVSはDNSの40~50%程度まで削減できた。CPU時間を、(a)ポアソン方程式と(b)それ以外の部分にかかる計算にわけて計測したところ、(a)については削減できなかったが、(b)については削減できた。今後の課題としては、ポアソン方程式の高速解法の実装があげられる。
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