平成25年度に挙げた成果の中で最も特筆すべきものが,二次錐相補性問題に対してパラメータ制御技法を組み入れた平滑化アルゴリズムを開発したことである.二次錐相補性問題は錐相補性問題の一つであり,特に問題の構造にユークリッドノルムが含まれるような最適化問題および均衡問題に対する定式化能力を有することでこれまで盛んに研究がなされてきた.しかし,これまで開発されてきた二次錐相補性問題に対するアルゴリズムの多くが,等式制約を含まない非混合型のものを対象としてきた.しかしながら,本研究で開発したアルゴリズムは,等式制約を含む混合型の問題に対しても自然に拡張ができることが最大の特長であるといえる. なお,本研究で得られた成果は,錐制約つき半無限計画問題(Semi-Infinite Conic Program: SICP)を解く際にも大変重要な役割を果たす.実際,申請者が平成24年度に提案したアルゴリズムでは,部分問題が等式制約を含む混合型の錐相補性問題として記述され,その部分問題を如何に効率的に解くかということが,アルゴリズム全体の性能に大きく関わっていた. なお,本研究で得られた成果は,Abstract and Applied Analysisという雑誌に投稿し,採録されるに至った.
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