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2010 年度 実績報告書

潜在的経年劣化事象を考慮した低炭素ステンレス鋼溶接部におけるSCC停留モデル確立

研究課題

研究課題/領域番号 22760070
研究機関東北大学

研究代表者

阿部 博志  東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30540695)

キーワードステンレス鋼 / 溶接部 / 凝固モード / 応力腐食割れ / 熱時効 / スピノーダル分解
研究概要

あらかじめ成分を調整した溶接フィラーを用いて作製した2種類のSUS316L溶接試料について、310℃で18000hまで等温時効し、δ-フェライトの硬度測定および微視組織の透過電子顕微鏡(TEM)観察を行うと共に、335℃時効材との比較を行った。また熱間加工再現試験装置を用いて、SUS316L母材に溶接熱影響を再現した熱処理を施すことで、母材の一部(特に粒界三重点)が局部溶融・凝固してδ-フェライト相が析出した組織を作製した。以下に得られた知見を列記する。
1.335℃時効では500h後にはδ-フェライト相が明確に硬化したが、310℃時効では6000h経過後にδ相の硬化が認められた。また、335℃時効材では、凝固モードにより明らかな硬化挙動の違いが存在したが、310℃時効では凝固モードに係わらずほぼ同じ硬化挙動を示した。
2。310℃時効材についてTEMによる組織観察ならびにEDX成分分析を行った結果、δ-γ界面およびδ相内部に介在物や析出物は見られなかった。各凝固モード材の11000h、18000h時効後のδ相のTEM写真より組成の揺らぎを反映したまだら模様を確認した。以上の観察・分析事実から、炉水温度域である310℃においてもδ相がスピノーダル分解により硬化する可能性が高いと判断された。
3.SUS316L母材を用いて溶接熱影響模擬(最大温度:1350℃)材を作製したところ、母材の粒界(三重点)上にδ-フェライト相が析出した組織を作製した。フェライト率は最大で4%程度であった。
今後は材料の成分あるいは熱処理条件を操作することで、δ相分布密度が異なる材料が作製可能であると考えられた。それらの材料を用いて熱時効処理ならびに高温水中応力腐食割れ(SCC)試験を行い、SCC停留モデルに及ぼすδ相分布密度ならびに低温時効の影響を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] SUS316L溶接金属中δ-フェライトの310℃および335℃におけるスピノーダル分解速度の評価2011

    • 著者名/発表者名
      寺尾俊彦、渡辺豊、阿部博志
    • 学会等名
      (社)機械学会東北学生会第41回学生員卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      2011-03-03
  • [学会発表] Potential Importance of Microstructural Aspects for Better Understanding of SCC Behaviors in Stainless Steels2010

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Watanabe, Hiroshi Abe
    • 学会等名
      International Seminar on Maintenance Science and Technology for Nuclear Power Plant
    • 発表場所
      Sendai
    • 年月日
      2010-11-03

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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