本研究の目的は、RP (Rapid Protyping)モデルの3次元応力場計測法の実用化である。このRPモデルは透明アクリル樹脂内にマーカーとなる微小粒子が分散している。従来の静荷重に限定される3次元光弾性に対して、現在までに開発を進めている動荷重の計測が可能な「粒子分散透明樹脂を用いたRPモデルの3次元応力場計測法」の1.計測精度向上、2.複雑形状モデル計測を実施した。開発した計測法を迅速生産における工業解析に適用することで実用化する。 研究目的1に示した計測精度向上の実施は、ソフトウェアで解析する粒子位置の検出方法を高精度化することで実現した。また、研究目的2の複雑形状モデル計測については、複雑形状物体の加工が可能なシステムを構築した。そのシステムは、3次元設計ソフト、自動制御ソフト、NC(数値制御)加工機から構成されている。 平成22年度の研究成果は、切り欠けがある単純支持ばりの3次元応力場、座屈する長柱の3次元変位場、動加重を受ける片持ちばりの3次元計測を学術論文、国内海外発表で公開した。また、本提案手法を拡張した充填層内の3次元流動場の計測、タンク内の撹拌棒の運動と周囲流体の流動の同時3次元計測が可能であることもあわせて公開した。 以上の取組みから、従来の3次元光弾性では不可能であった、動加重下における3次元応力場計測の精度向上とさらなる本研究テーマの拡張となる流体と構造体の3次元同時計測に適用することができた。加えて、実用化に向けては、迅速生産における工業解析に必要なCAD/CAMを用いた複雑形状の加工システムを構築できた。
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