研究概要 |
本研究では,放射光・CTイメージング技術を拡張した,クリープ損傷劣化の解析手法を開発することを目的とする.新しい解析手法は,CTイメージングを用いたクリープボイドの三次元定量評価法と結晶粒形状および結晶方位を三次元的に可視化する結晶3Dマッピング法から構成される.平成22年度では,結晶3Dマッピング法の開発および欠陥の三次元定量評価法の構築をそれぞれ行った. 結晶3Dマッピング法は,結晶の回折コントラストイメージに画像処理を施すことにより結晶の形状および方位を得る手法である.まず,撮影は高輝度放射光施設SPring-8のBL19B2ビームラインで行い,X線エネルギー,検出器構成および撮影手法などの回折コントラストイメージを撮影する条件について検討を行った.回折コントラストの撮影では,通常のCT撮影と同様にサンプルを180度回転させながら透過像を撮影する.今回通常のCT撮影法である回転と撮影を交互に行うステップ撮影と,回転させながら露光して撮影する連続撮影の二種類について比較した結果,回転速度と露光時間を調節することにより連続撮影ではステップ撮影と比較して結晶の回折コントラストを正確に得ることが可能であることが分かった. 次のような結晶解析スキームを構築した.撮影画像について,背景画像の除去,モルフォロジー再構成による回折コントラストの抽出を行い,さらに結晶ごとの回折コントラスト像に分類する.分類された回折コントラストについてART法を適用し,結晶粒形状の再構成を行った.この解析スキームにより結晶粒形状,およびサンプル断面上の結晶粒分布を得ることが可能であることが分かった. 欠陥の三次元定量評価法としては,ねじり疲労き裂を対象として,き裂進展挙動の三次元形状の抽出およびその寸法の定量的評価を試みた.その結果,き裂の形状・寸法に基づき,応力拡大係数などを用いたき裂の破壊力学的評価を適用できることが明らかとなった.
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