研究概要 |
本研究では,放射光μCTイメージング技術を拡張した,クリープ損傷劣化の解析手法を開発することを目的とする.新しい解析手法は,CTイメージングを用いたクリープボイドの三次元定量評価法と結晶粒形状および結晶方位を三次元的に可視化する結晶3Dマッピング法から構成される.平成23年度では,平成22年度に開発した結晶3Dマッピング法の画像解析処理スキームの効率化を行い,また塑性ひずみの評価を行った。さらに欠陥の三次元定量評価法の構築および性能の評価を行った. 結晶3Dマッピング法では,画像解析処理スキームの効率化を行い,観察可能な結晶粒数を向上させることに成功した.さらに結晶粒の塑性ひずみの評価を行うために,引張負荷を与えながら撮影を行うための小型引張付加装置を開発した.本装置は電動アクチュエータとロードセルで構成されており,細かな負荷条件を制御することが可能である.回折コントラストの撮影では,サンプルを回転させながら撮影を行った場合,結晶の一部が回折スポットとして少しずつ現れる.これは結晶の湾曲や転位の存在など完全性によるものと考えられる.そこで弾性変形および塑性変形を与えた場合の回折スポットが出現する角度幅を比較した結果,塑性変形領域では引張応力が大きくなるほど回折スポットの出現幅が大きくなることが分かった.また,結晶ごとに塑性ひずみによる影響を評価できるため,損傷評価において有効な手法になりうることが明らかとなった. 欠陥の三次元定量評価法としては,転動疲労き裂を対象として,き裂進展挙動の三次元形状の抽出を試みた.CTによるイメージング観察と強制破断による破面観察を比較した結果,イメージングにより得られたき裂形状は実際の破面の直接観察結果と概ね一致していることが分かった.
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