研究概要 |
高機能薄膜アクチュエータ開発を見据えた,低環境負荷型機能性薄膜の創生および中性子線を用いた材料特性評価技術の確立を目的として研究を遂行した. 今年度は,高次微構造制御薄膜生成プロセスを明確にするために必要な,大型パルス中性子実験施設内の新材料解析装置に設置を目的とした小型PLD製膜装置を設計および試作を主として行なった.PLD製膜装置の既製品は高価である高出力レーザーを除いたとしても,700万円以上と大変高価であるため,汎用品として比較的安価である排気系は構造体として購入し,その他は実験仕様を満たす必要最低限の設計を行い,部品・備品を購入して製作を行なった.大型パルス中性子実験施設に持ち込む装置であるため,より小型で可搬可能なPLD製膜装置の設計を目指した結果,空冷式真空系を含めて幅600mm×奥行き600mm×高さ800mmのサイズで製膜装置の試作品を作製することが出来た.規格品のチャンバーへの追加工を基礎とした設計および製作を行なったため,真空槽は低価格で仕様達成ができ,初年度にターゲット回転機構の設計,試作および整備を実施できたことは,薄膜生成プロセス解明のための実験を効果的に進めることが期待できる.また,完成品販売装置の数分の1の価格で装置を製作できたことは,PLD法による新素材開発を取り組む上で新規導入が容易になったといえる. また,膜特性評価において重要である組成安定的な膜生成のパラメータとして,ターゲット-基板距離における組成のばらつきについて評価を行い,製膜時間とターゲット-基板距離との相関性を見出すことができたので,製膜条件の選定の基準としていく予定である.
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