研究概要 |
本研究ではセラミックスに対する放電創成加工技術を確立することを目的としている。絶縁性Si_3N_4セラミックスに対し、電極材質(W,Ag-W,Th-W,Cu-W,Cu,Cu-Zn)の影響についての実験を行った。その結果、Cuを含む電極材料を使用した場合の加工速度が良好であることが分かった。次に電極形状(中実,パイプ)の影響について実験を行なった。その結果、パイプ電極を使用した方が中実電極を使用した場合より、フラットな底面を加工できた。これは、パイプ電極を使用した場合、電極底面での放電が主体となり長さ方向の消耗が激しくなるため、加工中の電極底面の形状変化を抑えることが出来たためであると考えられる。このように、円筒形状を使用した走査放電加工がセラミックスに対する放電加工においても有効であることが確かめられた。 以上で得られた結果をもとに、放電加工において加工特性が良い加工材料として知られている亜鉛合金を電極材料に適用して、電極材料としての適用可能性の検討を行った。電極材料に使用する亜鉛合金として、市販の金型用亜鉛合金ZAPRECの他、3種類の特殊亜鉛合金を作製して使用した。本実験で被加工物となるSi_3N_4は絶縁材料であるため、補助電極法を適用して加工を行う。そのため、加工時にセラミックス表面に形成される導電性被膜の形成を補助する効果を期待し、Cu、Alなどを添加した特殊亜鉛合金((1)4Al-Zn、(2)4Al-3Cu-Zn、(3)7Cu-Zn)を作製して実験に使用した。その結果,「(3)7Cu-Zn」電極を使用した場合の加工速度が最も良好であった。これによって絶縁性セラミックスに対する放電創成加工用電極材料として亜鉛合金電極の優位性が認められた。
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