本年度は我々の提案する「増分形陰的釣合方程式に基づく新しい大変形メッシュリゾーニング解析手法」(以下,提案手法)の基盤的研究を遂行した. 研究実施計画書の項目「(1)リゾーニング付きFEMの新定式化の完成」,および「(2)リゾーニング付きFEMによる粘弾性材料モデルを用いた解析の実現」の2項目については予定通り実施し,研究およびプログラム開発目標をそれぞれ達成した.また,(1)および(2)の開発終了時に提案手法の三次元化を行うことが先決と判断したため,提案手法を二次元から三次元に拡張した場合の定式化の完成と実装に取り組み,その研究およびプログラム開発目標をそれぞれ達成した.一方,研究実施計画書の項目「(3)リゾーニング付きFEMによる大すべり接触解析機能の実現」については時間の都合で着手に至らず,未達項目となった. 提案手法の定式化確立は,研究当初の目的である熱ナノインプリント樹脂大変形解析を安定かつ高精度に実施する研究に繋がる重要な成果である.従来のメッシュリゾーニング解析は安定性と精度を両立することが出来ていなかったが,提案手法は他に類を見ない増分形陰的釣合方程式を用いた謂わば「陰・陽ハイブリット手法」を用いることにより,メッシュリゾーニング解析の安定性と精度を両立させることに成功した.熱ナノインプリントのみならず,樹脂・ガラズ・生体材料の様々な大変形解析,切削加工解析,亀裂進展解析等へ我々の提案手法が今後広く応用されることが期待できる.
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