研究概要 |
平面の1ラインの真直度の測定法として従来より用いられている3点法による走査型真直度測定法では,3つのセンサの出力を利用して測定対象の形状と,走査に用いるステージの並進運動誤差,ピッチング誤差を理論上は分離して求めることができる.しかし,現実にはセンサのゼロ点位置の調整ずれ,センサ間隔のずれが測定結果に影響を及ぼし,精度の高い測定においてはこの影響を無視できない. 本研究はゼロ点ずれの影響をステージの移動の両端における姿勢差を実測することで,また,センサ間隔のずれの問題を3センサー体型の新たなデバイスを製作することで解決するものである.本年度の成果として,センサ間隔のずれ量の影響のシミュレーションを行い,本手法の有効性の検証を行った.また,本手法を平面度測定に展開する手法の検討を行い,一般に高精度化が困難なローリングセンサに代わり,2つの変位センサを適切に配置することで比較的精度の低い傾斜センサを用いた場合でもローリング成分を除去できるようになり,平面度測定時に問題となるライン間接続の問題を解決できる可能性を見出した. デバイス製作の面では,実験用小型ステージの仕様にあわせた基本的なサイズパラメータの決定とセンサ感度が最大になる配向の決定,加工プロセスの検討,マスクの設計を行った,これに基づきセンサデバイスの製作に着手し,マスクサイズとエッチング時間の調整により,先端の短針部をほぼ設計どおりのサイズに加工することができた.また,これを用いて測定時に与圧をかけながらアルミミラー上を走査し,短針部の破損が生じないことを確認した.
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