研究概要 |
本研究課題では,"工作機械等に用いられる精密ステージの運動誤差測定法"ならびに"走査型形状測定法"を高精度化するための技術開発を目的としている.具体的には,MEMS製造技術を用い,3点法による走査型真直度測定に用いるための変位測定デバイスを製作することと,3点法を拡張して平面の形状評価を行う手法の提案と検証を行うことを目標とする. 今年度は測定デバイスの製作を探針製作,電気回路製作,外形製作の3パートにわけ,それぞれの製作条件出しを進めた.前年度に高さ250μmの4角錐形状の探針製作は成功していたが,一方で通常のMEMSデバイスに比べ大面積かつ深いエッチングを行う過程でベース面に荒れが生じていた.今年度はこの問題の原因を探り,面荒れを大きく低減する加工条件を見出した.また,回路製作,外形製作をそれぞれ行い,製作するデバイスが測定時に予想される変形に耐えること,および変位測定時の荷重が,Si物性から予測される荷重の1/10となり予測と大きく異なる特性を持つことを明らかにした. 平面形状測定アルゴリズムの検討については,平面のねじれに対応するセンサ配置とする前年度の成果に基づき実験装置を製作して基礎実験を行った.5つのひずみゲージ式変位センサ(真直度測定用に3個,ライン間相関決定用2個)と,2軸の角度センサを用い,自動ステージと組み合わせて機械加工面の測定を試みた.また,それらのセンサ群からの入力を処理し,平面形状の測定結果を求めるプログラムを作成した.その結果,提案するアルゴリズムにより平面形状測定が行える可能性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定デバイスの製作については一時的に学内設備を利用できない期間が生じたため,代替案として学外設備を利用して計画の遅れを最小限に抑える事ができた.探針製作・電気回路部製作・外形製作パート毎にわけた条件出しが進んでおり,おおむね順調に進んでいる. また,真直度測定結果を平面計測に拡張するアルゴリズムの検証については実験装置も製作でき,順調に進んでいると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
測定デバイスの製作はパート毎に検討した製作プロセスを統合し,プロトタイプの完成を目指す.パート毎の検討ではピエゾ圧電抵抗の形成が完全でなく,北九州産業学術推進機構の設備を活用しながら今後研究内での優先順位を上げて条件だしを進めてゆく. 平面形状測定法と,そのデータ処理アルゴリズムについてはより詳細な検討を加えるため,シミュレーションにより仮想的な運動誤差を加えた際にも問題なく測定が可能であることを示す.また,実機での検証についても,意図的に運動誤差を付与する機構を追加し,提案手法により運動誤差の影響下でも平面形状の測定が可能であることを示す.
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