本研究課題では,“工作機械等に用いられる精密ステージの運動誤差測定法”ならびに“走査型形状測定法”を高精度化するための技術開発を目的としている.具体的には,MEMS製造技術を用い,3点法による走査型真直度測定に用いるための変位測定デバイスを製作することと,3点法を拡張して平面の形状評価を行う手法の提案と検証を行うことを目標とした. 24年度は測定デバイスの試作を進めた.高さ250μmの探針を結晶異方性エッチングで製作する際に,回路製作の支障となるデバイスの表面荒れの問題を完全に防ぎきれなかったことから,ひずみ検出用のピエゾ抵抗体と回路を最初に製作し,デバイス外形形状を切り出した後に裏面に探針を製作する新たなプロセスを組んだ.この手法ではAl-Siでできた配線を保護しつつ長時間のSiエッチングが必要となることから,エッチング液や保護方法を変えながら実験を行った.その結果,エッチング時に気泡が抜けやすいようデバイスを縦置きにし,林純薬工業製のPure Clean 160Aを用いることでデバイスを製作できる見通しを得た.一方,Deep-RIEにより外形形状を切りだしたデバイス側面からのエッチングが進み,カンチレバー部の痩せが発生する問題,マスクのピンホールからエッチングが進行し,欠陥が生じる問題もみられ,さらなるプロセスの改良が必要であることも判明した. また,注入するイオン注入条件を変化させてひずみ検出に用いるピエゾ抵抗体の形成を行い,製作したデバイスが基本的な変位検出能を持つことを確認した.
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