研究概要 |
近年の金型等の微細・小型化に伴い,省資源,省エネルギー,省スペースを目的とした工作機械の小型化が進み,これらに用いるスピンドルも小型小径化・高速化している.金型の形状精度や表面粗さはスピンドルの回転精度に大きく影響される.それゆえに,マイクロスピンドル回転精度の評価方法のニーズが増加している.このマイクロスピンドルの5自由度の回転精度(2つのラジアル方向・2つのアキシャル方向・1つのアンギュラ方向)は基準球や軸と複数の変位計を用いる従来方法では変位計の測定範囲の制限や設置の際の機械的干渉,周波数応答特性などにより測定できない.これは,従来方法で使用する基準球や軸などは変位計(ほとんどが静電容量型の変位計で測定可能な球径,軸径に制限がある)で測定できるように大きく製作されるため,軽くて小径の軸しか把持できないマイクロスピンドルではこれら比較的大きい基準球や軸をチャックに固定できず従来方法では評価できないためである。また,基準球や軸が小径化すると複数の変位計を設置する際に互いが機械的に干渉し設置できない問題が生じる.これらの問題を克服するために近年いくつか方法が提案されてはいるが,ラジアルモーション誤差のみの測定であり,2つのラジアルモーション・2つのアキシャルモーション・1つのアンギュラモーションの5自由度の回転誤差を同時に計測することはできない.そこで本研究では,超高速マイクロスピンドルのラジアルモーション・アキシャルモーション・アンギュラモーション全ての誤差を同時に計測することが可能なシステムの開発を行った.試作を作製し,その性能評価を行った結果,本システムの測定分解能は約5nmであることを確認した.また,スピンドルの測定実験を行い,本システムが超高速マイクロスピンドルの回転誤差測定に有用であることを確認した.
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