研究概要 |
近年、製造技術の研究開発が進みつつあるポーラス金属は、実用金属で最も軽量なMg合金による軽量化を超えるいわば緻密材の軽量化の限界を超える軽量化を実現するものである.主に自動車の構造材用途を目的として,2枚の金属板の間に発泡アルミニウムを挟んだサンドイッチパネルの利用が期待されているが,接着剤を使用している,パネル材の合金が限定されている,という問題がある.そこで本研究では,接着剤を使用せず様々な合金がパネル材に適用可能なメルトドラッグ法によるサンドイッチパネルの作製プロセスの確立を目的とした.この技術を応用することにより,ポーラス金属を用いたサンドイッチパネルの適用拡大が期待される.本研究においては,発展研究として,コア材にA5052ハニカムアルミを使用したサンドイッチパネルの作製を試みた. 本年度の成果として,パネル材の材質が実用合金であるA5052,A6063,A7075にて,パネル材の板厚が約3mmのハニカムアルミサンドイッチパネルの作製に成功した.実用合金を適用するにあたり,実験装置の改良を行い,最適な溶湯溜めとなるノズル材質や形状を明らかにし,実験パラメータとして接合に影響を与える溶湯温度,ロール周速等の因子を変化させ,最適な作製条件を明らかにした.その結果,目的とした作製条件であるハニカム箔が座屈しない条件を明らかにした.接合界面観察の結果,ハニカムの一部が溶融しパネル材と一体化し溶融接合が部分的になされていることを確認した.本研究におけるサンドイッチパネルは,機械的接合と溶融接合の複合的な接合によるものであることを明らかにした.圧縮試験の結果,従来材と同等程度の圧縮特性を示した. 本研究の成果は,軽量構造材料の新たな製造技術を示すものである.
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