本研究の目的は、除雪機械等の合理的かつ効率的な設計開発において渇望されている、「低温」環境のもと互いに「高速せん断」する条件下における雪と機械材料間および雪内部のトライボロジー特性を世界で初めて解明することである。本年度は、本研究目的を達成するために以下を実施した。 1.環状せん断特性実験解析システムの設計開発 低温条件下でかつ高速負荷時において雪と機械材料間および雪内部のせん断特性を計測できる環状せん断特性実験解析システムを設計開発した。本システムの中核をなす環状せん断装置は、上部せん断リングと下部せん断リングより構成され、リング内に実験対象の雪を充填する。上部リングを回転方向に固定し、同リング内の雪を介して上部よりベロフラムシリンダを用いて、下部リングに固定の機械材料または同リング内の雪に鉛直荷重を負荷する。この状態において、下部リングをサーボモータで回転駆動することによって雪と機械材料間および雪内部にせん断力を高速に負荷する機構とした。雪に負荷する鉛直荷重をベロフラムシリンダ直下設置の引張圧縮用ロードセル、雪と機械材料の接触面あるいは雪内部のせん断面に生じるせん断抵抗力すなわち摩擦力および粘着力を上部せん断リング設置のビーム型ロードセル、せん断角速度を下部せん断リング下設置のロータリエンコーダによりそれぞれ計測できるシステムを構築した。 2.環状せん断特性の予備実験解析 設計開発した環状せん断特性実験解析システムの試運転を兼ねて、雪内部のトライボロジー特性を解明するための基礎実験を実施した。同システムによって高速せん断負荷時のトライボロジー特性を計測できることを確認した。
|