研究課題/領域番号 |
22760111
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
藤野 俊和 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (70508514)
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キーワード | トライボロジー / 雪氷 / 機械材料 / 特殊環境 / 流体 |
研究概要 |
本研究の目的は、除雪機械等の合理的かつ効率的な設計開発において渇望されている、「低温」環境のもと互いに「高速せん断」する条件下における雪と機械材料間および雪内部のトライボロジー特性を世界で初めて解明することである。本年度は、本研究目的を達成するために以下を実施した。 1.環状せん断特性実験解析平成22年度までに独自に詳細設計し開発した環状せん断特性実験解析システムを使用して、雪と雪および雪と機械材料間のトライボロジー特性を解明するための実験を実施した。しまり雪およびざらめ雪に加え、雪と特性が類似していると思われる粉砕氷についても対象とし実験解析した。 実験では除雪機械等にて破壊を繰り返すことによって流動する雪の特性解析において、最も重要である摩擦および粘着特性を解析し考察した。この際、上述した雪の種類の違いによる影響以外にせん断面押し付け圧力の影響も検討し考察した。さらに、せん断速度の影響についても調べた。 2.環状せん断特性実験解析システムの高性能化上記の実験解析に使用した環状せん断特性実験解析システムを改良した。具体的には、雪と雪のせん断面押し付け圧力が大きくかつせん断速度が大きい場合には、せん断面に生じるせん断抵抗力が当初予測していた値をはるかに超えることに対応するため、高荷重下において高速回転が可能は高出力サーボモータを新たに導入するとともに、同モータを設置し実験できるようにシステムを改良した。これにより、高荷重高速条件下にてせん断特性実験を行うことを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は、雪と雪および雪と機械材料間のトライボロジー特性を解明するための実験を、低温環境のもと高速条件下にて実施する予定であったが、「9.研究実績の概要の2.」に述べた実験解析システムの改良に時間を要した。また、雪を対象にした界面観察用に十分な性能を有するマイクロスコープを予算内では購入できず、せん断界面における水の発生や流動等の現象とトライボロジー特性との相関関係の考察には至らなかったため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
環状せん断特性実験解析システムを使用して、雪と機械材料および雪同士のトライボロジー特性の解明を目的とした実験解析を行う際の実験環境、具体的には恒温恒湿環境を構築する。また、実験者によらず再現性があり広変数領域において適用できる、より信頼性の高い実験結果を得るため実験方法の標準化を目指す。その実現に向けて実験時における雪の圧密方法のほか、せん断面押し付け圧力、せん断速度および上下せん断リング間隙条件の設定方法等も検討し、標準的実験方法を構築する。また、11.に述べた界面観察は、既有のマイクロスコープの性能範囲内で検討を試みる。'
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