研究概要 |
今年度は,実験装置を開発し試測定を行った.得られた高速度撮影画像を用いて,画像処理法を構築した.開発した装置は,音響場発生装置と気泡発生装置である.音響場発生装置は,丸底フラスコ側面に円環型圧電セラミックスを接着することにより作成した.気泡発生装置には,T字マイクロチャネル(幅・深さともに0.1mm)を用いた.供給気体の圧力を能動的に変化させ,マイクロチャネルT字交差部への気体の流入を調整し,発生気泡の径と気泡間隔,発生個数を制御した.気体圧力制御には,低粘度液体(1~5mPa・s)ではオーディオスピーカーを,高粘度液体(50~100mPa・s)ではソレノイドバルブによるチューブの圧縮による圧力上昇を利用した.音響場発生装置のフラスコ底部をくり抜き,さらにガラス管を溶接することにより,音響場発生装置の底部から気泡を導入することができる.気泡発生装置と音響場発生装置の接続には,内径0.5mmのPFAチューブを用いた.音響場発生装置の加振周波数は,フラスコ内に定在音場が形成される19.5kHzとした.この加振周波数と固有振動数が近い半径0.15mm前後の気泡を2個だけ生成し,音響場発生装置内へと導入することに成功した.振動2気泡の接近および合体挙動を高速度カメラによって撮影した.ここで,本実験では加振周波数が20kHz程度であるのに対して,撮影速度は2kHz程度と遅い,そこで,撮影速度を加振周波数の1/10からわずかにずらし,さらに露光時間を2μsとすることにより,比較的低撮影速度のビデオカメラを用いても気泡半径方向の運動を解像できる撮影手法・条件を確立した.また,画像処理によって気泡直径,重心座標,移動速度,接触時間等を定量的に評価した.画像処理では,通常の2値化法に加え,接触している(合体はしていない)2気泡を分離して処理するよう改良した.
|