研究概要 |
平成22年度は,高解像度CCDカメラを購入し,それを用いて圧力場を光学的に可視化するシステムを立ち上げた.これによって,超音波の波長あたりのピクセル数が大幅に増大し,圧力場を光学的に計測することが,実用的なS/Nで可能となった.その成果は,2010 IEEE International Ultrasonics Symposium, The 31st Symposium on Ultrasonic Electronics (USE 2010)において発表した.さらに,光学的に透明な生体模擬ファントムを用いてキャビテーション気泡の加熱増強効果を解析する実験システムを立ち上げた.生体模擬ファントムは,アルブミンを含んだポリアクリルアミドゲルを用いており,これによって,一定の温度以上になってアルブミンが変性し,白濁することによって可視化される.平成22年度では,この実験システムを用い,主に発生したキャビテーション気泡からの分数調波信号を検出することによって,生体模擬ゲルのキャビテーション発生の圧力閾値について調べた.パラメータは,超音波の周波数,超音波強度,ゲルの組成とした.ゲルの組成については,混入するアルブミン濃度の増加にともなってキャビテーション発生の閾値が下がることが確認された.超音波の周波数については,およそ1MHzから6MHzの範囲とし,最大負圧が-10MPaまでの範囲でキャビテーション閾値について調べた.結果として,キャビテーション閾値に関する様々な先行研究と同様に,低周波数の超音波を用いた方が,キャビテーション閾値が低くなることを確認できた.
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