研究概要 |
本研究では、超音波を利用したマイクロバブル発生技術によって、"超音波による殺菌"と"オゾンによる殺菌"を同時に行うことができる"超音波とオゾンマイクロバブルを利用した殺菌技術"について、殺菌力が向上するメカニズムの解明と実用化に向けたスケールアップの研究を行っている。本年度は、水300mL中の大腸菌(ATCC8739,菌濃度:約10^7CFU/mL)を殺菌対象として、超音波オゾンマイクロバブル処理の殺菌効果の評価とメカニズム解明に焦点を置いて研究を行った。大腸菌殺菌に関する殺菌能力については、Chick-Watson modelに基づく不活化係数を算出し、超音波オゾンマイクロバブル処理が0.0900、散気管によるオゾンバブル処理が0.0289、超音波を別途印加した散気管によるオゾンバブル処理が0.0395と超音波オゾンマイクロバブル処理が極めて高い殺菌能力を有することを数値的に明らかにした。また、濃度14.5mg/Lのオゾン水の濃度半減時間が18分であったのに対し、超音波の印加によって濃度半減時間が8分と半分以上に短縮されたことから、超音波印加よってオゾンの自己分解が促進されていることを示した。その結果、自己分解によるフリーラジカルの生成が促進されている可能性が高いことを確認した。なお、生成するヒドロキシルラジカルの発生量に関しては現在測定を行っている。装置のスケールアップに関しては、超音波マイクロバブル発生装置のノズルおよび超音波出力の大型化を行い、マイクロバブル化するガス流量も市販レベルの100mL/min以上で発生させることが可能となった。今後は、ラジカル発生量の定量化および大型化した発生装置と大腸菌以外の菌を用いた殺菌能力の評価を行う予定である。
|