研究概要 |
本年度は新幹線車両を模擬した高速(200~500km/h)の円筒境界層流れに対し、その遷移領域の発生位置を制御することによる、低周波圧力変動抑制の可能性を理論的・数値的に探ることを目的とした。 円筒・平板境界層から発生する低周波音の発生領域である遷移領域の主流方向スケールに対し、適切な流入撹乱による低周波圧力変動抑制効果を検証した。DNSにおいても確認された低周波圧力変動の発生領域が遷移領域付近であることから,その抑制手法を探るためスパン方向の流入撹乱の振幅を変化させ,遷移領域をスパン方向に大きく変化させたときの圧力変動への影響をDNSより調べた.流入部で与えたランダム撹乱の大きさは,周方向に対し主流速度の0.8%から1.2%へと正弦波的に変化させ検証をおこなった.また、周方向に対する振幅変化の波長に対し検証を行い発生する円筒境界層から発生する低周波音への影響を調査した。 圧縮性円筒境界層直接数値シミュレーションの実行により,以下のことを確認した。周方向に振幅を変化させたランダムな流入撹乱により、遷移領域を周方向に対し変化させることができ、流入撹乱の大きさによりその変形量(遷移領域上流部の主流方向にたいする前後のずれ)は撹乱の振幅差により制御できる。上記、周方向に変化した遷移領域は下流での低周波圧力変動の振幅を減少させる。周方向に対する振幅変化の波長の減少により遷移領域上流部の主流方向にたいする前後のずれが小さくなり、抑制効果が減少した。低周波圧力変動の振幅減少は、流入撹乱振幅の減少による可能性があり、今後も検証が必要。
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