研究概要 |
本年度は昨年度と同じ矩形断面を有する出口の高さは500μm,幅は5000μm,設計出口マッハ数2.0のノズル(ワイヤーカット法により作成)から発生するマイクロ超音速流れの特性を実験的に下記の方法で調べた. 流れ場に作動気体の比熱比が変化しないように微量のアセトンをシードし,Nd:YAGレーザーの4倍高調波でアセトンを励起して得られたアセトンの発光強度分布をイメージインテンシファイア付きのCCDカメラで取得した.遅延パルス発生装置上を用いて,レーザーバルスに対して遅れ時間を変えて二つの発光強度画像を取得し,二つ画像からアセトン分子の移動量を求め,流速を計算した.なお,遅れ時間を変化させて,測定速度の不確かさを評価したところ,本計測システムでは遅れ時間を200ns以上にすると不確かさは噴流中心部において~3m/s,周囲部において~10m/sでほぼ一定となるととが分かり,遅れ時間を200ns以上に設定して実験を行った.なお,ノズル上流のよどみ圧力を調節することにより流れのレイノルズ数を変化させた.以下に明らかになった点を示す. 噴流対称軸上の速度分布において,亜音速噴流にみられるようなブレークダウン直後の速度の極大値は観測されなかった. 実験はレイノルズ数を変化させて行った.その結果,レイノルズ数とともにブレークダウン長さは変化するが,マイクロ亜音速噴流のようにブレークダウン長さに基づく臨界レイノルズ数が一定になるような結果とはならなかった.すなわち,マイクロ超音速噴流ではブレークダウン長さを臨界レイノルズ数だけでは整理できず,亜音速マイクロ噴流とは異なる特性を持つことが分かった.
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