研究概要 |
平成22年度は,当初の計画に従い研究を進め,以下に示す成果を得た. 球形気泡の運動方程式に対してFujikawa & Akamatsuの式を適用し,気泡内部気体に対して多原子分子気体を仮定したGaussian-BGK Boltzmann方程式を用いることで,気液界面での相変化(蒸発・凝縮)を考慮した数値計算を行った.気泡周囲圧力が初期気泡内部圧力の10倍高い条件での気泡の崩壊問題を取り扱った.気液界面での凝縮係数の値が1の場合,気泡初期半径に対して,収縮した気泡半径が100分の1以下になると,気液界面に接している気体の圧力や温度は急峻に上昇し,気液界面での温度の飛びは初期温度の5倍以上になることが確認された.これは気泡崩壊時における非常に強い気体の凝縮によることがわかった.今後は,音響場内における球形気泡の崩壊など,周囲圧力場の変化を考慮した計算に取り組む予定である. また,非球形気泡と衝撃波の干渉問題に関して,マルチグリッドGhost Fluid法を用いることで,大きな体積変化を伴う気泡の崩壊現象に対して,精度よく取り扱うことが可能となった.今後はこのマルチグリッドGhost Fluid法に,上述したFujikawa & Akamatsuの式(球形気泡の運動法廷式)とGaussian-BGK Boltzmann方程式を融合した数値解析で得られた界面現象に関する知見を取り入れて,更に詳細な気泡崩壊とその界面現象について調べる予定である.
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