研究概要 |
本年度は,噴霧流におけるミクロ爆発やパッフィングを観察するための実験装置を製作した.本装置では,高温の不活性ガスが流れている電気炉内部にエマルジョン燃料を噴霧することが可能であり,観察窓より噴霧滴を観察できるようになっている.本装置は,不活性ガス中でエマルジョン燃料を噴霧するため,燃焼反応が起こらないといった利点があり,ミクロ爆発に及ぼすガスの雰囲気温度の影響を詳細に検討できる.不活性ガスにはN_2を使用し,電気炉壁面温度400℃,雰囲気ガス温度550℃の条件下で加熱されている噴霧流をシャドウイメージングと高速度カメラを用いて観察した.その結果,100μm程度の噴霧滴のミクロ爆発およびパッフィング挙動の直接可視化に成功し,噴霧流におけるミクロ爆発を明確に示すことができた.100μm程度の噴霧滴のミクロ爆発を観察するためには,100,000fps程度の高速度撮影が必要であった.また,エマルジョン燃料噴霧におけるミクロ爆発特性を評価するための指標のひとつとして,噴霧流における水の体積分率分布に着目し,簡易的にエマルジョン燃料噴霧における水の体積分率分布を評価する手法を開発した.その結果,水の体積分率分布はバルクの水の体積分率分布を平均値とする正規分布となった.単一液滴実験では,液滴が1mm程度と巨大であるため,液滴中の水の体積分率分布をバルクと同一とできたが,噴霧流の場合,ひとつひとつの噴霧滴が1mmよりもはるかに小さいため,噴霧滴中の水の体積分率分布にばらつきが表れることが示された.
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