研究概要 |
エタノール低温酸化反応機構の初期過程において重要な反応の一つであるCH_3CHOHラジカルと酸素分子の反応について、紫外吸収分光法と近赤外変調吸収分光法による反応速度計測装置を開発し、計測を行った。検出感度が高い紫外吸収分光法ではCH_3CHOHラジカルの吸収と生成物であるHO_2ラジカルや副反応生成物であるHOC_2H_2O_2ラジカルと考えられる吸収が重なり、精度の良い速度計測が困難であった。近赤外吸収分光法では検出感度が低くラジカルの検出自体が困難であるが、波長変調分光法と多重反射セルを採用することで生成物であるHO_2ラジカルのみを単独で検出することに成功した。近赤外波長変調分光法で検出されたHO_2濃度の時間履歴に関して、目的反応とHO_2自己反応を考慮した非線形最小二乗法により室温,6.7kPaにおけるCH_2CHOH+O_2反応速度定数を(1.54±0.19)×10^<-11>cm^3 molecule^<-1>s^<-1>と決定した。この値はばらつきの大きい既往の報告例の中で、ラジカル生成源が類似したGrotheerら(22nd Int.Sym.Combust.1998, 963.)の結果と近いものである。
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