研究概要 |
一般に,10~100μmの径を有する気泡はマイクロバブルと呼ばれ,近年,機械,化学,船舶,そして医療の分野で盛んに利用されている,ここで,対象とする流れ場が,上下水,工場等の排水,海・川・湖等の場合では,マイクロバブルに加え,不純物質としてマイクロ粒子がその流れ場に含まれる.しかしながら,現在のところ,マイクロバブルとマイクロ粒子を同時に含む流れ(以下,マイクロスケール三相流と呼ぶ)に関する研究報告例は知見せず,その流動特性は明らかになっていない.本研究では,マイクロスケール三相流の実験的基礎研究として,マイクロバブルとマイクロ粒子を同時かつ安定的に供給可能な実験装置と,マイクロスケール三相流の計測手法の構築を行った.また,構築した実験装置と計測手法を利用し,鉛直チャネル内マイクロスケール三相流の速度計測を行い,以下の知見を得た.(1)気泡と粒子の速度ベクトルが同時かつ,正確に取得可能な画像処理アルゴリズムを開発した.(2)マイクロ粒子を含む流れでは,マイクロ粒子の濃度が高いほど,粒子間干渉が促進され,流れ場中の粒子運動は活発化する.(3)マイクロバブルを含む流れでは,揚力の影響により,気泡が壁面に多く存在する.また,マイクロバブルを含む流れの流れ方向速度は,流路幅全域にわたって,単相流のそれよりも高くなる.(4)マイクロスケール三相流では,慣性力の異なる分散体同士の相互干渉が顕著となり,それに応じて,平均速度分布が変化する.
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