本研究は、輸送用燃焼器内での燃焼現象をより正確に計算でき、輸送用燃焼器の開発や設計ツールとして利用可能な乱流燃焼モデルを開発するために、従来の乱流燃焼モデルでは考慮されてこなかった燃焼器内壁面およびその近傍における化学スキームを可能な限り考慮した乱流燃焼場の直接数値計算(DNS)をスーパーコンピュータにより実行して高精度データベースを構築することと、構築したデータベースの解析を行って、輸送用燃焼器内壁面およびその近傍での乱流燃焼場の基礎的特性を解明することを目的とする。 今年度は、先ず、新たに構築する化学スキームを可能な限り考慮したデータベースのより現実的な計算条件等を設定するために、化学スキームを詳細に考慮していない従来のデータベースについて、詳細な解析を行った。具体的には、新たに構築するデータベースに用いられる化学スキームによる現実的な火炎の生成可能性について検討し、また、新たに構築するデータベースが実験データと比較可能でかつ実験データとともに新たな乱流燃焼モデルの構築に利用可能なものとすべく、局所的な燃焼速度や熱発生率等、燃焼において重要なパラメターについて詳細な解析を行い、実用的なデータベースとすべきパラメターについて検討した。次に、前述の検討を基にして、化学スキームを可能な限り考慮した水素-空気乱流予混合燃焼の3次元DNSを行うために必要な、水素-空気の詳細反応機構を考慮した2次元DNSをベクトル型スーパーコンピュータを用いて実行した。
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