研究概要 |
本研究では,火炎伸長率とOH, CH, C2などの中間生成物からの化学発光との関係を調べ,消炎限界付近の火炎構造を定量的に明らかにすること,および乱流予混合火炎の局所的な消炎現象を計測する手法として,C2の473.7nmバンドと516.5nmバンドの発光強度比から火炎温度を推定する手法の確立を目的とした. 二組の円管ノズルバーナを上下に対向させた対向流バーナ火炎を使用し,ひずみ率,火炎温度およびC2の473.7nmバンドと516.5nmバンドの発光強度比の関係を詳しく調べた.その結果,ひずみを受けたプロパン・空気層流予混合火炎では,ひずみ率の増加に伴い火炎温度とC2の473.7nmバンドと516.5nmバンドの発光強度比は,ひずみを受けていない層流予混合火炎の値を最大に,単調に減少することが明らかになった.ひずみ率の増加に伴うC2の473.7nmバンドと516.5nmバンドの発光強度比の減少率は混合気の濃度により異なるが,単調に減少する傾向は混合気の濃度によらず同様であった.すなわち,混合気の濃度がわかれば,C2の473.7nmバンドと516.5nmバンドの発光強度比を計測することにより,火炎温度を推定できる可能性があることが明らかになった. また,化学発光分光装置を構成するダイクロイックミラーおよび干渉フィルター等の配置を最適化し,さらにプリアンプの駆動電源をスイッチング電源からバッテリ駆動方式に変更する等の徹底したノイズ対策を行った.その結果,化学発光計測のS/N比が従来の計測システムに比べ二桁以上も向上し,乱流予混合火炎の計測で要求される時間分解能で高精度な化学発光計測が可能となった.
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